シュー・ヤマモトの「CAT ART 美術館」巡回展が西武渋谷店で開催されていると知り、人溢れかえる渋谷に特攻してきました。久しぶりに渋谷のスクランブル交差点を闊歩した気がする。
Shu Yamamoto Official Site ~ CAT ART
CAT ART美術館―SHU YAMAMOTO 名画になった猫たち―|西武渋谷店|西武・そごう
誰もが知る世界の名画を「キャットアート」にした巡回展。これがそのチケットとパンフ。可愛い。
チケットに採用されているこの作品は、皆様ご存知フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」をモチーフにした 、"フェルネーコの「真珠のイヤリングをした少女猫」"。
名画をモチーフにした原画約70点と、ミャーシャ(ミュシャ)のステンドグラス作品が、古代・中世〜ニャネッサンス(ルネッサンス)〜バロック〜ニャオクラシック(新古典主義)とロマン主義〜写実主義〜印象派とその時代〜20世紀美術〜日本の美術に分類され、華やかな音楽流れる空間にゆったりと配置されています。
人間の仕草を擬態した猫たちがとても愛らしくユーモアたっぷりに描かれて、もう見ているだけで癒される。可愛い。各作品には猫美術評論家のユーモアあふれる解説がついてまして、例えば、
猫を吹く少年猫(エドゥワール・マネコ)
昔の猫戦争は笛とか太鼓の音に合わせて進軍した。(裏通りでときどき聞かれるミャーオ、フギャー!!とかいう小規模のチンピラ猫の内輪争いは猫戦争ではない。)それゆえ軍隊の笛吹きも重要な役目であったが、これには戦いには適さない若い猫が配属された。この絵は印象派画家のマネコが書いた少年猫兵である。ゴロゴロ言うだけが猫の音楽ではない。
エドゥワール・マネ「笛を吹く少年」モチーフのキャットアート解説なんですが、ウィットに富みつつもちゃんと原型も感じさせるところが好き。あとこの少年猫兵も可愛いんですよ。全部可愛いんですが。
個人的最お気に入りは、アルフォンソ・ニャーシャ(アルフォンス・ミュシャ)の「桜草/羽ペン」と「四季」。繊細なタッチが、どこまでも可憐かつ優雅なネコにぴったりとはまって、はぁっとため息が出るくらい可愛いのです。もう可愛いしか単語が出てこない感じに可愛くて、思わずポストカードも購入したくらい。
家でじっと見つめるだけでも癒される...可愛い。家でじっくりとオリジナルとパロディ猫名画を見返すうち、元々好きだったミュシャの絵が、キャットアートのおかげで更に好きになった気がします。
CAT ART 美術館に連れだった友人は、徳島県にある陶版名画美術館「大塚国際美術館」(世界の名画を陶板画で再現した美術館)を一緒に巡った仲で、お互い「美術に詳しくはないけれど絵を見るのはなんとなく好きで、各時代の特徴と名画は一通り知っている」くらいのゆるい知識持ちです。
それが今回いいスパイスになって見ることができたんですよね、オリジナルの絵を脳内展開した上で、壁に掛けられたキャットアートを見る。そうすると元の絵との違いや、要素として外せなかった部分が見て取れて、キャットアートと一緒にオリジナルの絵も尚更好きになるんです。あと人間独特の人間味みたいなものも逆に再発見したり。
そうして作品を眺めながら、オリジナルってなんだろう?と考えたりしていました。前述の大塚国際美術館が好きでよく行くのですが、オリジナル絵画にはピンとこなかったのに、陶板画を「好きだなぁ」と思うことがあって、自分は絵の何を見てるんだろうと。
そういう時は大概、絵のタッチや構図、色使いなんかよりも、その絵が描かれた背景込みで心惹かれていることが多くて、「自分は絵を楽しみに来たのか、物語を楽しみに来たのか?」なんて考えるのですけども。いつか答えが出るんでしょうかね、どうなんでしょう。オリジナルの絵が日本に来る時は、また見比べて自分の感性に問いかけてみたいものだなぁと思っていたりします。
猫画像や猫動画を見てキャッキャ言うのと同じようにかわいさに癒されるのでもいいのですが、ちょっとだけ美術脳を引っ張り出して考えてみるのにもいい題材だなと満足したCAT ART 美術館でした。図録も買っちゃいました。
これはAmazonでも購入できますねー。でも原画を見てこそ可愛さが伝わる気もする。原寸大の素晴らしさってあるよね。

- 作者: シュー・ヤマモト
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