青猫文具箱

青猫の好きなもの、行った場所、考えた事の記録。

昭和生まれからみたインターネット。

昔のブログを読み返したら、当時はこんなこと考えていたのかと思い、記録を残すというのは記憶を残すことなんだなとしみじみ。人は忘れる生き物ですし、記憶は塗り替わっていくもの。平成が終わって令和になって、そうだ、自分の記憶のインターネットを残しておきたいなぁと思ったので、ちょっと書きます。

私が覚えているインターネットの最初は、父の書斎に置かれたADSL接続のPCです。

そこからインターネットに繋がると、なぜ小学校の私が知っていたかは定かではないけれど、目的は発売停止した乙女ゲームの情報を探すためでした。ファンタスティックフォーチュンという女性向け恋愛シミュレーションゲーム。本屋でゲーム雑誌の一頁に書かれたゲームの紹介(乙女ゲームは当時それはそれはもう珍しかった。だってアンジェリークとアルバレアの乙女ぐらいしかなかった)を見て、どうしてもプレイしたくなったのです。でも、ヨドバシカメラの店員さんに聞いても「もう発売停止になっているPCゲームですね」と。

私は情報に飢えていたんです。ゲームがプレイできなくても関連する情報が知りたくて、両親が仕事で帰ってこない隙を縫ってPCにアクセスしました。そのとき見たインターネットにはgoogleなんて文字はなかったと思います。入口はYahooだけ。しかもYahooの検索窓にキーワードを打ち込んでもほしい情報には辿り着けなくて、Yahooのトップページからカテゴリを選択していく方法でした。そこから乙女ゲームの関連サイトを見つけて、Web Linkとか相互リンクとか管理人のお気に入りとかそういうところを辿ってきました。

そうして私は、ファンタスティックフォーチュンというゲームについて、発売停止になったけれどファンに愛されていて、再販の署名活動が行われていているのを知ったんです。その感想やレビューがインターネットのいろんな場所に転がっているのも知りました。すでに埋まっている情報を掘り起こす方法も誰にも習わず身に着けました(閉鎖したサイトのキャッシュを辿ったり)。この宝探しみたいな作業はとてもワクワクして、最初はひとつのゲームの情報を追っていたのに、いつの間にか周辺の乙女ゲーム情報についてリンクを辿り始め、その沼にはまっていったのです。

インターネットって海にたとえられることが多いけれど、その時はそんな広さを感じなくて、沼みたいな狭さの方が近かった記憶です。相互リンクを辿っていると、どうしても同じサイトをぐるぐる巡ることになるので。ジャンル的にそうだっただけかもしれませんけどね、ホームページのトップでは検索よけに関する注意書きがデフォルトでしたし。

いつのまにか私は乙女ゲームの二次創作というものを知り、ドリーム(夢小説)とかオリジナルとかのカテゴリに馴染み、BBSとか掲示板とか呼ばれる場所にアクセスするのが当たり前になり、最初読み専だったのが書き込みもするようになって、そこからオフ会とか同人即売会とかコミケみたいな場所の存在も知ったのです。当時未成年で、自分が行くことは考えたこともありませんでしたが。いやだって自分には、ネットとリアルは別空間にあったので。

そこから少し経ち、自分が高校の頃かな。乙女ゲームサイトの管理人さんは、二次創作なんかのコンテンツ以外に日記コンテンツを置いてることがあったんですが、その日記がある時期からみんなブログに切り替わっていったんですよね。オセロみたいな勢いで切り替わっていって、メインコンテンツまでブログに切り替える管理人さんもいて、「そうかブログってものがあるのね」とこの時知りました。ちなみに自分が初めてブログを書いたのは今はなきauブログです。広告なしでテンプレートも豊富でよかったんですが…結構すぐサービス終了しちゃったんですよね。悲しい。

同じく高校の頃、インターネットで検索する、というのがどんどん便利になっていった記憶があります。Yahooの検索窓にキーワードを打ち込めばほしい情報に割と簡単にアクセスできるように。SEOという言葉も多分なかったんじゃないかな、ブログが検索トップに来ることはほとんどなくて、心地いい情報のオアシスみたいな時期でした。て、ブログでこれ書くの変な感じですが。そうだこの時期Googleの存在も知りました。あの頃はYahooが便利すぎて、まさか10年経たずにGoogleとYahooで利用者数が逆転するとか想像もしてなかったです。

ただ、この頃まで買い物は、現物を置いてあるお店でしかしてませんでした。インターネットショッピングとか、漠然となんか怖くて。これが変わったのはいつだったかな、大学生の頃?まず最初は本の購入で、そこから嵩張る日用品をネット購入して家まで届けてもらうことを覚え、その後はズルズルと。インターネットでお買い物、に抵抗がなくなった頃には、今度はYahooの検索窓が使いづらくなっていました。検索ボタンを押すと、検索結果のページにやたら広告が目に付くようになって、ブログが表示されるようになって、辟易するように。検索する際にオプションから「ブログを除く」のを覚えました。そのうちあまりに広告が煩わしくなって、しばらくインターネットからは距離を置くようになり。インターネットは、オンライン小説を読むのと大学の調べものに使うぐらいの存在として月日が経っていきました。多分、ここら辺の文脈でmixiとかFacebookとか前略プロフとか出てくるべきなのかもしれないけれど、あいにく私は縁遠かったので割愛で。クローズドなインターネットはあんまり向かなかったんですよ、だったら会って話せば良いじゃん、と思ってしまう。

それからどれくらいたったかな、もう一度インターネットに漬かるきっかけは、スマホのHT-03Aを手に入れたことだった気がします。大学生も後期か、社会人なりたての頃?それまでインターネットはPCを通してつながる場所だったのが、スマホという小さな画面から接続する場所になった。この時自分の興味はハロプロアイドルで、同じようなハロプロファンの人たちと情報交換したりライブ感想を読んだりするのにインターネットが必要だったんです。交換する連絡先としてちょうどいいのでTwitterも始めました。インターネットの検索機能は相変わらず広告とブログでうるさくて、むしろそれが当たり前になっていて、で、ある時Twitterのほうがほしい情報にアクセスしやすいことに気がついたんです。Googleの検索アルゴリズムよりも、SNS経由で詳しい人の話を聞いたほうが信頼できる的な。その人が本当に詳しい人なのかとかいろいろあるけれども、フォローして呟きを追いかけて、その人が社会的に知名度がある人だったりするとなぜか自分がその人の知人気分も味わえるから楽しくなって。しばらくしてからInstagramも流行りはじめましたが、自分の場合写真を撮って加工して、というまめさやセンスがないので、アカウント作ってROM専に落ち着きました。

はてなブログをはじめたのが2014年です。auブログで読書ブログもちょっと書いてましたが、他人の目を気にして書き始めたのはここからだったはず。ブログを始めたきっかけはこちらの記事を読んだのが大きかったなー。

私のいる世界→追記の記事2つあります - ひきこもり女子いろいろえっち

今読んでもすごくないですかこの文章。響く世代とか限られてるのかな?あと他にも、

私の時代は終わった。

とか

安全ちゃんオルグ日記

好きすぎるブロガーさんの文章多くて、そうだ自分も書いてみよう、てなったんです。はてなで書きたいと。

私のインターネット人生、ここまで読むとわかるんですが基本的にROM専で、あまり自分から発信することってなかったんですよ。昭和生まれで、ネットとリアルの敷居が中途半端に高い時期を過ごしてきたが故なのかも。この時、初めてくらいの勢いで他人の目を気にしてブログの文章を書いて、ブログ界隈の人たちとTwitterで交流なんかもして、楽しかったです。でも一度もオフラインで顔を合わせることはしなかったな、三つ子の魂百までなのかもしれません。そういえばこの頃は多分イケダハヤトさんとかちきりんさんが目立ってた記憶あるんですが、今もお元気なんですかね、元気だったら良いなぁ。

それから5年くらい経っての現在なんですが、今はどうでしょう。連絡先の交換が、携帯番号交換からLINE交換が当たり前になったあたりから、ネットとリアルの敷居、みたいなのが私の中でも消えた気がします。Twitterやインスタのリア垢で知り合った人とオフラインで普通に会ったりするようになりました。リアルの延長にネットもある感覚に、ようやく馴染んできたような。

そう、ネットとリアルは別だと思っていたんです。インターネット初期の人たちって、ネットとリアルの敷居が低くて、オフ会とか同人誌即売会で気軽に顔を合わせるイメージがあります。一方で、デジタルネイティブとかSNSに慣れ親しんだ世代は、ネットとリアルの敷居なにそれみたいな感じで交流しているように見える。たぶん自分はちょうどその狭間の時期にインターネットの世界に踏み込んで、だからそこらへん自分は感覚を掴むのにすごく時間がかかった気がします。今でもあまり、インターネットで知り合った人と対面したいという気は起きないし。あーでも今は、昔の感覚とはちょっと違うかもな、せっかくインターネットという場所で知り合った人たちを、現実の延長線上に引っ張り込みたくない、て思う日があります。

正直もうインターネットについて「わたしとインターネット」なんて畏まって語るほど特別なものではなくなった気がします。子供たちのなりたい職業にYouTuberがランクインしたことに最初違和感があったのに、今はなんとも思わなくなったように。あと5年くらいしたらこのブログも普通に実名で書いていて、Twitterのアイコンも顔出ししてるのかもしれません。いや、普通にそれはないかな。

 

はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」