ライトノベルは男性向けの波に押され、あまり女性向けのいわゆる少女小説が脚光をあびることが少ないが少女小説好きーの悲しみです(マリア様が見ている、くらい?)
ということで、唐突にオススメ小説7選(だいたい女性向け)プラスαいきまーす。万人向け何それ、な勢いで語ってるので、ニーズに合わない方スルー願います。あと、Amazonセールが多いこともあってKADOKAWA縛りとしています。
F‐エフ‐ 黎明の乙女と終焉の騎士(糸森環)
異国のただ一人の生き残りである騎士と共に、異世界から召喚された少女・響は世界と住人を蘇生させる旅に出る。運命に逆らい、終焉の世界を必死に足掻く、乙女戦記。
もう何というか地の文が最高に切なくて必死な主人公が愛おしい。主人公の存在を救済のように守る騎士も、どことなく狂気的で何かが疼く。きゅんきゅんときめいてじったんばったん転げれます。
好みど真ん中、少女が苦難に立ち向かい真っ当に成長していく系少女小説です。
花神遊戯伝 よろしく遊べ、この異世界(糸森環)
同じく糸森先生。こっちは和風な異世界ファンタジー。
お姫様ポジの異世界召喚少女と彼女を守るナイト的な男性陣たち、と一見使い古した設定ですが、主人公が何か変。 千夏の愉快な可愛さと、実は相当にヘヴィーでシリアスな世界観のギャップを楽しみつつ、和風系神話世界に酔いしれます。言葉繋ぎの魔術師糸森せんせーの本領発揮な文体もときめくる!
たまにそれは恋ではなくストックホルム症候群ではというツッコミ入れたくなるけど、ちゃんと恋愛要素もあります。
おこぼれ姫と円卓の騎士(作者:石田リンネ)
貴族の思惑と優秀な兄たちの“おこぼれ”で王位が転がり込んできたレティが、必要となる王の専属騎士団を作るべく、自分の騎士探しに奔走する物語。
基本レティ視点なのに、優しく自分に厳しいレティのたまに鈍感、基本あざといツンデレにやられる小説です。適度に失敗や挫折をしながら、だけども「自分が知っている女王になるという未来」のために、内面必死に外面は余裕のある微笑みでひた走るレティがすごく可愛い。
国家間、貴族がらみの陰謀や揉め事を解決していく感じで、難度も程よく読み応えある感じ。騎士達が一癖も二癖もあるのばかりなのですが...レティの覚悟を知ってる読者的には「17歳の少女が必死に頑張ってんだから、さっさと騎士にぐらいなれよ!」と思わなくない。だってそれぐらい健気でひたむきなんですもの、おこぼれ姫様。
シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精(三川みり)
シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)
- 作者: 三川みり,あき
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: Kindle版
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最近完結したのでシリーズ一気読みができますよ!
人と妖精が暮らす国。少女アンは、一流の銀砂糖師だった母を亡くし、あとを継ぐことを決意する。用心棒として口の悪い戦士妖精のシャルを雇い、銀砂糖師として認められるための旅に出るアンだが・・・という物語。正統派に王道で手堅く、「少女小説の典型例を述べよ」と言われたらこのシリーズを思い出すくらい。
こう、繊細なレース編みをテーブルクロス並みの大きさに編んだみたいな「よくその根気と繊細さとそれを可能にする技術を持ち合わせたなー」という感動を抱きます。
春日坂高校漫画研究部 第1号 弱小文化部に幸あれ!(あずまの章)
春日坂高校漫画研究部 第1号 弱小文化部に幸あれ! (角川ビーンズ文庫)
- 作者: あずまの章
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2014/03/02
- メディア: Kindle版
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漫画研究部に所属する、恋もオシャレも無関心の二次元大好きっ子な主人公が、突然現れたリア充ボーイズに振り回される話。
なんかあらすじと表紙が今流行りの男性陣にちやほやされる系っぽいしある意味では間違ってないけど、本筋は部活青春もの。リホコちゃんの控えめ地味系に見せかけて猪突猛進人たらしっぷりが、別の学校で不良をまとめあげるお兄様に似てカッコゆい。
ジャンル分けすると定番の「鈍感系主人公」なんですが、正直、鈍感の成分が違うと思う。胸キュン必至のドタバタ青春ラブコメディです。
★★★間奏
恋愛要素過多気味と言われる少女小説。さすがに10冊全てそれだと食傷気味なので、味を変えて手に取ることは少ないと思われるリプレイもの。ちゃんと少女が主人公。
アリアンロッド・リプレイ・ルージュ ノエルと薔薇の小箱(作者: 菊池たけし)
最短距離で良質なTRPGリプレイが読みたいなら、これ。
アリアンロッド・リプレイ・ルージュ ノエルと薔薇の小箱 (富士見ドラゴンブック)
- 作者: 菊池たけし/F.E.A.R.
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2013/05/08
- メディア: Kindle版
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TRPG初心者で声優の力丸乃りこさん演じる、ノエルの自分探しの旅的リプレイ。
役をロールプレイしながらサイコロ転がし物語を展開させてくリプレイものですが、きくたけさんのシナリオに加え、配役の妙と中の人の和気藹々さ、数奇なサイコロの目が合わさって、ライトノベルとしても完成度高めになってます。
序盤の大爆笑からの手に汗握る絶妙バランスなバトル、そして衝撃の大号泣。リプレイで泣いたの人生で初にして今のところ唯一です。力丸さんは、ここぞのサイコロ運が神懸かってた。
1巻読んで気に入ったら、きっと最後まで気に入ります。あ、3巻超えて続き読まないという選択はできないと思うので、読むのを止めるなら2巻までで。
★★★
女神と棺の手帳(文野あかね)
史上初の女性医師を目指す少女・ケイトが事件に巻き込まれ、「英雄」と名高いイーノット少佐率いる部隊と関わっていく話。ケイトが健気可愛い。 史上初の女性医師を目指す、でわかるくらいに苦難の道を歩いていく主人公をとりあえず応援したくてたまわない。そして友達思いなんですよねー。そして私、健気系ツンデレ少女×寡黙系軍人みたいな属性がたまらなく好きという事を、この小説によって思い知らされました。萌ゆる、というかときめく。
デ・コスタ家の優雅な獣(喜多みどり)
こちらも完結済!マフィアなファミリーに引き取られた女の子が主役のお話。
これもですねー、気弱な少女な主人公・ロージーが、与えられた場で、どんどん成長していく姿がとっても好き。でも少女小説としては風変わりな感を受ける、かな。ハラハラドキドキしながらその成長と冒険を応援したくなります。1巻だけでも、前半→後半で成長の片鱗を見せていくロージーが楽しめますが、キレイに終わっているので、ぜひシリーズそろえていかが。
オペラ・エテルニタ 世界は永遠を歌う(栗原ちひろ)
病気を患う青年。完璧な美貌を持つ謎の詩人。青年を狙う暗殺集団の少女。
あーどうしよう、何か言うとそれだけでネタばれになるんですが、3人の関係性と掛け合いが楽しい。それでいて、設定や世界観や主人公の背負う悲劇性的なものがまさしくクラシカルにオペラ的。宿命と運命と絆の3種の糸が混じりあって交ざりあって、案外想定外の終着を見せるラストが壮大な・・・ロード・ノベル、です。
ちょっと地の文や会話体が癖があるんですが、ダークファンタジー系が好きな人ならきっと好き。
シンデレラ伯爵家の靴箱館(作者:仲村つばき)
王道は愛されてこその王道。
シンデレラ伯爵家の靴箱館1 恋する乙女は雨を待つ (ビーズログ文庫)
- 作者: 仲村つばき
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2014/06/14
- メディア: Kindle版
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私、こういう王道に「普通の女の子が苦難を乗り越えて成長する」系少女小説にほんと弱いんです。王道は愛されてこそ王道。
今風に言えばコミュ障で職人気質な少女エデルが、働き始めた靴屋で人と交流して仕事の辛さや喜びを学んで成長していくお話。極度に人見知りなエデルですが、ひたむきさも人並み以上なので、じわじわながら周りの影響を受けて確実に変わっていく姿が本当に健気で可愛い。
ヒーローもいますが、今のところ恋の色がついてない親愛、な感じで糖度は控えめ。エデルの心も家族や、誇り高き靴職人としての意識に向いてますしね。でも、お互い大事に、尊敬しあっての関係性がほのぼのじんわりでとっても良いなー。王道でありつつ新鮮な、クラシカルモダンな仕上がり。