モーニング娘。4代目リーダーの吉澤ひとみさんが、グループを卒業した時のエピソードが好きです。
2007年、コンサートの中で後輩がお祝いのコメントを述べるシーンで、
モー娘。卒業、吉澤ひとみにメンバーが涙のお祝いコメント | ORICON STYLE
新垣里沙「吉澤さんが卒業すると、私の中での“モーニング娘。”がいなくなっちゃうんです。いつも助けてもらうばかり。言葉が足りないけれど、尊敬しています」。
後に自身もリーダーとなる新垣里沙さんのコメント。
吉澤さん属する4期(他は石川梨華、加護亜依、辻希美(敬称略))って、ファンから「黄金期」と呼ばれ神聖視された時期の象徴みたいな存在なんですね。そして新垣さんは黄金期のモーニング娘。に憧れてオーディションを受け、グループに入ってきたメンバー。
10年以上続くアイドルグループなので「モーニング娘。」を知ってる人は多くいます。でも多分、「LOVEマシーン」やその後のベストアルバムでミリオン記録して、ブラウン管の中で歌い踊ったあの時期をリアルタイムで見ていた人と、その後の人は温度が違うんじゃないかな。
新垣さんが「私の中での"モーニング娘。"がいなくなっちゃうんです。」と言ったとき、同じように感じて涙したファンって多かった。観測範囲内だと自分と兄貴なんですが。一緒にライブDVD見て泣いた。兄貴は妹が引くほど泣いた。
別に今を否定するわけじゃなくて、変化を歓迎しながらそれでもあの時、自分の知る「モーニング娘。」のひとつの時代が終わったように感じました。
...もちろん、その時期思い入れが強かったってのもありますよ?今も引き継がれていく「娘。イズム」を応援してますし。
「SMAP中居正広とモーニング娘。が持っていた”恥をかく勇気”」 - 小娘のつれづれ
決して彼女たちも順風満帆ではなく、ブームの収束によって消えたと囁かれたり、大きい会場でライブができなくなっていた時期もある。でも解散せずに新しい魅せ方、進化を模索し続けるという勇気をいつの時代も持ち続けていたからこそ、やがてもう一度再評価の流れを作り、もう一度日本武道館や横浜アリーナでのライブができるようになっていった。
それでも、明るさの中に納得ずくの哀しみが浮かぶんです。受け入れないわけじゃなくてむしろ歓迎してるし、ちゃんと割り切っていて、でもほんの少し喪失を忘れたくない、ような。
そのコンサートの中、吉澤さんの卒業挨拶の後に歌われたのが『I WISH』で、

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この歌って、聞き流すとすっごい軽いんですよ。普通の女の子がある夜感じた寂しさから始まって、自分を信じてあげなくっちゃ、て言った後「人生って素晴らしい!」のサビにつながる。
二番も大体同じで、晴れの日があるから雨の日もある、だから「人生って素晴らしい!」。10代そこそこの少女たちの歌声も相まって、明るく希望的な歌に聞こえます。インスタントに消費されるアイドルソングで終わるように。
吉澤さんたち4期メンバーの卒業時のテーマソング的に歌われるので、思い入れのあるファンはそりゃ多いんですが、遠くから「普通に」モーニング娘。を見てた人からすると、パッと歌われてパッと消えていった多くのアイドル曲の一つに過ぎないだろうなーと。
でもこの歌、メロディから離れて歌詞カードを読むと見方が変わるんです。フックがある。歌詞のラストって、
でも笑顔は 大切にしたい Yeah! 愛する人の為に...
で終わる。それまで人生って素晴らしいって歌ってたのに、最後「でも」でひっくり返して笑顔を大切にしたいって歌う。
これすごく好きだなぁと。
人生って素晴らしい。けど「現実そんなうまくいかないよね」とわかった上で、それでも「笑顔は大切にしたい」って望む。祈る。
理想と現実のギャップとか、理解して納得しても埋められない「何か」とか、そういうものをサラリと歌う『I WISH』が好きだなぁと。しかもタイトルは、desireやhopeではなく、どこか儚げなwishなんですよね。
まぁ、全部妄想なんですけれど。でも、そう思っていたいなぁと。
かつて夢見た場所にたどり着くと、もう憧れの人はいなくなって、自分が残って。そして、次に引き継いでいかなくちゃいけないという使命感的なものがなぜか芽生えてて。
そういうのあるなぁと考えて、だからたまに『I WISH』という曲を思い出して聞きます。そして、「でも」笑顔は大切にしたいって思うんですね。雨の日もあるけれど、そのうち晴れるから。