青猫文具箱

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有川浩「レインツリーの国」冒頭で思うこと。

有川浩先生の『レインツリーの国』で主人公の男性が、中学生の頃読んだ古いライトノベルのことを思い出して、他人の感想が知りたくなってネット検索するんです。

レインツリーの国 (角川文庫)

レインツリーの国 (角川文庫)

 

一体何の拍子でそんなことを調べてみようと思ったのかは自分でも分からない。後から思えばそれが運命だったのかな、なんて思う。

(略)

俺以外の奴は、あのラストをどう受け止めてたんだろう?今更本当にどうでもいいことだ。本当にどうでもいいことをふと思い出して調べてみる気になった。それはやっぱり運命だったのかもしれない。

ググった結果、主人公はヒロインのブログに辿り着き、ラブストーリーは進展していくのですが、それは本筋でないので横に置いときます。

 なぜこんなことを冒頭書いたかと言いますと、久しぶりに自分のブログへの流入経路というか、どんな単語検索でこのブログにたどり着いたか確認してたんですよ。

したらば「現在ほぼ絶版の小説のタイトル」+「小説の印象的な台詞」で来られたと思しき方がいらっしゃいまして。その小説タイトルで自分が書いた記事って、○○に関する12選、みたいなまとめ記事しかなくて、多分その記事リンクをクリックしたと思うんですね。

自分がまとめ記事を書く時は、基本的にはまだ読んでない人が読むようにネタバレを避けた薄めの紹介が多いので、多分、その方が求めていた情報じゃないんです。

だってその方「小説タイトル」と「小説内で印象的だった台詞」の合わせ技で検索して来た訳じゃないですか。これって冒頭の『レインツリーの国』と一緒で、「俺以外の奴は、あのラストをどう受け止めてたんだろう?」と検索した可能性が高い。

しかも今Google検索かけたら、Amazon楽天のサイト、リンク切れや文字化けを起こしている古いサイトばかり引っかかるし、その人が満足し得る感想は結局、ネット空間にはなかったんじゃないかしら。

本の紹介ブログじゃなくて、読了後感想ブログだったらマッチングしたのに!みたいな。少し傲慢な気もするような、謎の後悔。紹介記事書くくらいなので、自分もその小説を読んで面白いと思った過去があって、顔も目的も見えない相手ですが、感想分かち合えたと思うんですね本当は。

もう今更その人がリピーターとなってこのブログに戻ってくる可能性は低いし、自分も趣旨替えして読了後感想メインのブログになる気もないのでしょうがない。

 

...ないんですが、その時ふと「Googleの検索アルゴリズムって、こういう瞬間のために日々アルゴリズム変更を行ってるのかも」て思いついたのでこの記事書きました。

前にこんなこと書いた通り、

検索流入、或いは漂流するボトルメール。

こういう時、相手に受け取ってもらえたらそれはとても嬉しいけれど、気づかれなくてもまた楽しい。だって、代わりに思いがけない誰かに届くこともあるから。まるでボトルメールのようなもので、漂流して、どこかの海の浜辺の誰かの手に渡ったら、その偶然性が楽しい。

自分は、名も知らぬ誰かがボトルメールを拾うような偶然性でこのブログにたどり着いたらいいな、て思いながらSEO対策的なことをするんですね。だからペルソナ的な相手をあまり想定してなかったりする。

でもさっき検索キーワードを見て、ネットの海の向こう側に誰かの顔が一瞬見えた気がして。時間や場所の隔たりでリアルタイムには出逢えなかったけれど、出逢えば感想を分かち合える誰かのために、記事を書いてSEOを気にする書き方もあるんだよなと。

というかそれがGoogleアルゴリズムが目指しているところなんですかね。

ある日誰かが、普段は忘れているけれど心に残ってた何かについて、リアル空間では分かち合えない「よすが」を検索窓から探す時のため。そのよすがに、なるだけノイズなくネット空間の向こう側にたどり着けるように。

 

なんだか抽象的で長くなっちゃいましたが、要は、Googleアルゴリズムにはもっと精度上げていただいて、多分ネットの海の向こう側の人が満足できない検索結果にならないよう頑張っていただきたいと思う所存。

そんなわけで名前も目的も分からない誰かさん、期待していたよりもうっすい感想でしかないブログのリンクを踏ませてしまって申し訳ありませんでした。でも自分もそれ好きでした、続きないとかありえないよね。で〆です。

 

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