青猫文具箱

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肩書きで飲むか、名前で酔うかの話。

こちらの記事を読みました。

そろそろ、ビールを継ぎ足すという接待の風習はやめにしませんか。 | 隠居系男子

やっぱり、仕事帰りとかに適当な中華料理屋さん入って、瓶ビールを1本頼み、ここに書かれているような飲み方で1人で飲んでいる時の方が、圧倒的にうまい飲み方なんです。

だから、飲みの席でもグラスの4分の1ぐらいのところまではなるべく目に入っても放置しているんですが、半分ぐらいでガンガン継ぎ足してくる人もいますよね。そして、そういう人の方が気を使っているマナーある人だっていうことになっている。

そんな昭和的な接待のルールは、そろそろやめにしませんか。

記事中で言及されている池波正太郎先生の「男の作法」好きだー。

男の作法 (新潮文庫)

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昭和的な接待ルールに染まってるわけじゃないですが、上の記事を読んで、ふと思いついたことがあったので書きます。

 

前提として、ビールの継ぎ足しを喜ぶ人ってあまりいないと思うんです。酒飲みからすれば、冷たいビールとぬるくなったビールを混ぜてもおいしくないし。

だから、存在するのは「そういう風習が必要な場面を持っている人」か、「持っていない人か」だけという気がしています。そして、私はそういう風習が必要な場面を持っている人ですね。

 

ビールを継ぎ足す風習が必要な場面とはですが、これはいわゆるビジネスの場面。外の人と接待で飲むときだけでなくて、中の偉い人と飲むときもです。つまり仕事で飲むとき。自分では「肩書きで飲むとき」と認識してる。

一方で、肩書きで飲むときの逆は「名前で飲むとき」という認識です。プライベートや、仕事仲間でも打ち解けた人が集まって飲むとき。名前で飲むときにビールを継ぎ足す必要がないのは言うまでもないかと。対等なんだから、自由に楽しく美味しく飲みたいですもの。

つまり、自分にとってビールを継ぎ足すという風習が必要な場面は「肩書きで飲むとき」だけです。

 

では、なぜ肩書きで飲むときビールの継ぎ足しが必要か。自分が最初の企業でお世話になった先輩は言いました。

「上の人は、相手のコップに目配りできるかの、気配りや采配力を見てる」「単純に若い人と話したいってのもあるから、偉い連中のコップが空きそうなら『次何飲みます?』で会話のきっかけにすりゃいいんだよ。」

これに尽きるなーと。 昭和的なルール...というか、作法のようなものです。

 

グラスの空きは、単に継ぎ足しのビールで埋めればいいというものではありません。目の前の人と会話しながら、周囲の偉い人たちのグラスの様子を横目で見る。グラスが空きそうだったら、瓶ビールを持ってその誰か偉い人に寄っていって「次何か飲みます?ビールがいいですか?」と声をかけるまでがワンセット。

周りの様子に気を配れているか、全体の進捗を把握できているか。マネジメント的な能力を相手に見られている前提で立ち回ります。

グラスの空きはコミュニケーションで埋めたっていいんです。というか大体の場合、コミュニケーションで埋めることが期待されてるかなー。「最近いかがですか?」「部長、出身どちらでしたっけ?九州なら焼酎に変えますかー?」みたいな。

会話を開くためにビールの継ぎ足しはあるのです。たまに、会話の沈黙回避のためにビールを傾けることもありますけどねー。

ビールを継ぎ足すという接待の風習は、自分にとって、接待相手や上司によるマネジメント能力やコミュニケーション能力の確認作業であり、会話の糸口です。何より接待って、美味しいものを一緒に食べるためにあるわけじゃないですし。相手が信頼できるか、確かめる作業の一環です。

 

そんなわけで、ビールを継ぎ足すという接待の風習について、辞める気はあまり起きないな、という感想でした。

もちろん昇華はさせたいけど。「男の作法」でも出てくる通り、ピッチャーや瓶ビールではなくグラスごと出てくるお店や、中途半端な飲み残しが発生しない小さめのグラスを用意してくれるお店を選んで、「ぬるいビールと冷たいビールを混ぜるな」という人も唸らせる接待術が身につけたい。

本当はビールは冷えたのをグイッと飲むのが美味しいと思うので、手酌で好きなペースで、がいつでもどこでもできる時代が来ると良いですよね。マネジメント能力だったりコミュニケーション能力だったりは、別の機会で察していただくとして(て、それが難しいから接待があるのかもなー。)

 
 
なんて書いた自分なりの宴会術はこちら。

「ハーバード流宴会術」を読んで考えた、国内企業勤めな自分の宴会術10コ。

「宴会を上手く回せる人は実務能力が高い」的神話の息づく職場なため、過去の自分含め、新人時代は結構プレッシャーが大きい宴会幹事。でも、慣れてきて上手く回せるようになると、作業ゲーム的で楽しいです。 
これがすべて、かなぁ。