時折ブームが訪れる官僚本。だって、自分の生活に確実に影響するのにわからない世界がぽっかりあると思うと不安じゃないですか?私は不安です。
税金が投入される分、批判も非難も多い分野ですが、知らないと始まらないと思うので、見なかったことにせず見えるところだけも見たいと思うのです。
というわけで面白かった官僚系執筆本を随時更新して集めてく記事です、ここ。残念ながらまだ二冊だけ。
30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと(作者: 宇佐美典也)
根回しの神髄とその難しさをキャリア官僚の回顧録的な中から垣間見る。
東大卒・経産省キャリアが「三十路の官僚のブログ」で給料を公開して話題騒然に。そんな著者が民主党政権末期の2012年半ば、経産省を退職直前に書いた本です。
前半で不覚にも泣いた箇所があるのですが、著者が官庁訪問で入省を決意したくだりで、「尊敬できる先輩ってどんな人ですか?(著者)」→「信頼を持ちながら、相手に不利な条件を呑ませられる人かな(面接官)」。次の章で「最終的には『すべての関係者が平等に不満を感じる』程度の落とし所を慎重に見定め」るのが必要と言い、その後続く壮絶な省庁間折衝の話とか、根回しの神髄を見た気がします。そんな訳で、自分的一番のハイライトはここ、根回し力でした。
本文中で引用される文章や経験談が素晴らしく心に刺さる&響く内容で、誰かのために何かしたくなります。あと、優秀な個人も組織では〜、の難しさはどこもあるのだなぁと。船頭多くして、が故事として今に伝わるくらいですしね!
仕事の大事は5分で決まる(作者: 宮家邦彦)
外交官の車窓から。
外交官の仕事感とか勘所の話。珍しい環境でも、仕事術的にはオーソドックス。いや、だからこその王道なのか。そんな訳で、あまりノウハウ的な目新しさはないです。
それでも、「外交官の世界」を垣間見、その思考をなぞるという意味で興味深い本。赴任国での社交や交渉、情報収集などなど。
ワシントンでの「友情」と「デリヴァー」、中国とアラブの共通点とか、へー!と思います。その視点で生きたことがなかった。
他に「交渉では大義名分を取る」のが重要だから、ゲームの基本ルールは自分に取り込めとか、パワーが消えると「力の真空」を埋めるため世界が動く、とか、自分でどう活かせるか謎ですが、考え方として面白い。「ノウハウは同業者から、アイデアは異業種から盗め」なので、何かしらアイデアは取り込みたいところ。