青猫文具箱

青猫の好きなもの、行った場所、考えた事の記録。

小説家になろう初心者におすすめの短編シリアス&コメディ。

小説家になろうでは、露出の多い連載物と比べて短編物は捕捉が難しく、たまに「誰も知らない珠玉の短編」探索がしたくなります。特に古い作品で。

見つけた素敵短編に誰も評価つけてないと、新雪に最初の足跡を残すような楽しみもありますし。あとタグ検索で見つけた短編が好みで、小説情報見たら好きな作者さんの作品でひゃっほーい!ていうのも運命的(一方的)で良い。

それに短編って構えずに読めるので、なろう初心者の入り口としても良いと思うんですよね。いくら傑作でも全245話とかなると萎える。

そんな訳で、小説家になろうのおすすめ短編シリアス&コメディを並べたよー!という記事です。自分のブクマ確認したら40作超短編のお気に入りがあったので、無理やり絞って初心者向け(メタ系少なめ)に寄せて10作+αです。

 

その時が来たら、お願い(作者:榎木ユウ)

その時が来たら、お願い

交差する時間の中、別の世界に生まれ育ち出逢いを重ねた男女の話。

淡々としたモノローグ調が切なさ増し増しでキュンときます。あまり語ると面白さが半減するので掻い摘むと、恋愛物というより時空物。自分は二度読みしてからタイトル読み返して、うるっと来ました。

この方の作品は短編ホラーも好き。「階段の踊り場で」とか、最後の三人称語りがヒヤリと来ていい。

 

異世界トラベラー、ランチを食す(作者:Swind)

異世界トラベラー、ランチを食す

地球へのツアーを企画する異世界人が、ツアー下見中に日本の街角でご飯食べる話。

異文化の人視点で描かれるご飯語りってひっじょーに好みなんですよ。作者自身の味覚表現が反映されていて「そうかこう感じるのか」みたいな。飯テロ最強。

飯テロな短編が他にも読みたいなら、miobottさんの小説もおすすめです。北新地シリーズの「君と、私と、日替わり定食」とか、美味しそうな料理が出つつほろ苦い恋の話になっていて、最高に好みの味付け。

 

俺の勇者(作者:田上伊音)

俺の勇者

平凡な青年が勇者に選ばれた幼馴染の旅に付き添い、その顛末を見守る話。

前半のコメディ時々シリアスな調子に軽く笑った後、後半の淡々とした幼馴染視点の語りで、大切なものにぞんざいに手を触れてたことに気づく後ろめたさよ。やっぱり普通が一番難しくて愛おしい。

勇者繋がりで、魔族に育てられた少女が勇者に敵討ちしようと願う「だから私は勇者を殺そうと思うのです。」(作者:ピヨ)も、予定調和なのに綺麗な切なさが素敵。

 

子供が書いた夏休みの宿題が、ファンタジー過ぎる件(作者:Aska)

子どもが書いた夏休みの作文が、ファンタジーすぎる件

夏休みは異世界で勇者してました!という作文を見つけた小学校の先生が、勇者の旅にひたすらツッコミ入れる話。

先生のツッコミがとにかく小気味良くて楽しいです。弘くんの家族すごい。あと昭彦の意外性にやられる。

この系統が好きなら、算数の文章題の主人公「たかしくん」がインフレ的に強くなっていく「親戚の小学生の算数の文章題がおかしい」(作者:唯乃なない(未だ考え中))も多分楽しめます。

 

僕の諭吉おじさん(作者:greed green)

僕の諭吉おじさん

母から1万円あげるから好きに使いなさい、といわれた少年のある日の冒険。

お金について、道徳の教科書にでも載ってそうな予定調和…からの反転が好みだった!これもうちょっと行間埋めるエピソードあったら一押しだったかもしれない。

お金繋がりで、お金に振り回される男を描くコメディ「札束で人をはたく彼女と、金の亡者な俺の話」(作者:かんなぎ) も、ラスト「おお!」とツボついて好き。

 

優れた犯行手口(作者:ネコノヒゲ)

優れた犯行手口

強盗犯VS女刑事で取り調べ室。誘いボケツッコミでテンポよく展開する掛け合いと駆け引きが面白い。女刑事の言葉巧みな誘導尋問かっこわらいで十分満足していてたのに、最後嬉しい誤算。

自分駆け引き物も好きなんですけれど、いまいち作品ヒットしなくて、どんなタグで検索すればいいか迷います。ちなみにこの作品を見つけた時は「ハードボイルド」でした。…ハードボイルド?

 

側妃に関する上奏状(作者:独蛇夏子)

側妃に関する上奏状

王妃様の元に臣下から側妃の提案が届き、堅実で温和な国王夫妻が40代にして恋に気付くお話。

政略結婚で穏やかな家族愛を育んできた2人が改めてお互いを見つめ直す、その一連の流れがすごく良い。恋したくなる。周りが本人たちよりやきもきしてるのが、物語中は語られない信頼を感じて、じわじわ心が温まる。

中年夫婦の関係性をテーマにした作品では「ある夫婦の物語」(作者:OL)もたまに読み返します。こちらちょっと切なめ。

 

ラスト・メッセージ(作者:冬城カナエ)

ラスト・メッセージ

枯渇した鉱山しかない惑星のバーに現れた旅人が、バーテンダーに探し人を問う話。

SFなハードボイルド小説が読みたい!と検索して辿り着いた話。冒頭からして如何にもな雰囲気がたまらない。見たことないけれど、カウボーイビバップっぽい。何気に時空物的要素も入っていて好み。

他にSFなハードボイルドで検索して気に入ってる短編としては、5年の眠りから目覚めて特殊任務に向かう男の物語「エス」(作者:西洋)かな。

 

シリアルバレット・オイタナジー(作者:河野裕)

シリアルバレット・オイタナジー

誰も守ってくれない代わり、誰もが人ひとり分殺せる弾丸を持たされた世界。無政府状態の辺境で息を潜めながら暮らす少年と、母の敵を探してやってきた少女。

深々と淡々と紡がれる風景が美しく物悲しくて、やるせない透明感が素敵。オイタナジーは、ドイツ語で「安楽死」の意味で、つまりそういうことです。「サクラダ・リセット」シリーズの作者の過去作品ですねー。

 

野良のノラが教えてくれたこと(作者:Cat Bell)

野良のノラが教えてくれたこと

野良猫が捨て猫を見つけて一人前になるまで見守る話。

挿絵が美麗で素晴らしくマッチング。童話というか絵本というか、ミュージカルの「CATS」を連想します。話の展開的にはチビ猫きゃわわ、とか、行間に漂う予感に胸がきゅうっとなるんですが、でも、いい。

動物ものが好きならば、猫と、猫に育てられた竜の、長い長い物語「猫と竜」(作者:アマラ)も楽しいと思います。

 

おわりに 

時に冗長になりがちな行間をそぎ落として、するっと物語感を楽しめるのが短編の醍醐味だと思うんですよ。あと、長編読む際のサンプルとして同じ作者の短編読むことも。だってほら、いくら人気の作者でも合わないことってままあるわけで。

短編だと思ったら長編級の長さでしたーという「君の膵臓がたべたい」みたいなのもありましたしね。こちらはまた別途感想書きたいくらい好きー。

君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

 

 

そんな訳で、親切な人がこれ見て好みに合う作品を教えてくれないかなーと他力本願して、〆です。

 

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