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青猫文具箱

本と文房具を愛でる日々。

池上彰氏の日経新聞連載コラムと、意味づいた記号の話。

ささやかな楽しみの話。

日経新聞で、池上彰氏の連載コラム「大岡山通信 若者たちへ」を毎週楽しみにしているのですー。

このコラムは、池上氏が日ごろ学生たちと共に過ごしている東京工業大学のキャンパス所在地・東京都目黒区大岡山にちなんで、教授生活の中で考えたことや感じたことをテーマに書かれてます。2014年6月始まりだったので、もう1年近くなのですね。

池上彰の大岡山通信 若者たちへ :就活・仕事 :ビジネスリーダー :日本経済新聞

例えば2015/5/11には「私のメディア活用術~情報を取捨選択するために」というタイトルで、新聞・ネット活用術について書かれていて、ネットの普及で紙の新聞が読まれなくなった副作用として、

米国では地方新聞社が次々に倒産した結果、議会や行政の問題点を追求する記者がいなくなり、汚職が増えてしまったという指摘があります。

と書かれていて、意識してなかったけどそれあるなーと頷いたり。自分のところの業界でも「勉強に来る」記者さんはいても「その意味を問いに来る」記者さんが減ったと昔からいる人たちがよくボヤきます。楽だからいいけれど。

大体はすでにネットや新聞で報道されたニュースを噛み砕いて、経緯を追って「一つの読み方を提示する」形なんですが、たまに大学の場にいるからこその気づきも醸し出されて、良いなーと。楽しみだ。

 

池袋リブロという記号。

それでですね、ここから本題。2015/5/18のコラムは「本棚は志を映す~リブロ池袋本店の閉店に思う」でした。

リブロ池袋本店て、名前と存在は知っていたけれど特に「行こう」とまでは思わなかったところでして。意味を持たない記号だったのです、自分にとって。そういうものが「ある」ことだけわかっている的な。

でもコラムを読んだら俄然、気になってきた。このコラム自体、書店の本の並べ方の哲学的なことを扱っていて、自然書店に足を伸ばしちゃいたくなる内容なんですが。

長くじっくりと売れる"長距離ランナー"は早々と姿を消し、スタートダッシュが得意な"短距離ランナー"は生き残る。でも、短距離ランナーばかりになってしまったら、書店の景色はつまらないものになるだろうなあ、と思うのです。

書店への愛着が書かれていて、良いなーと。

自分、電子書籍派なんですが、やっぱりこだわりのある書店てそれだけで心惹かれるのです。時間を潰すためではなくて「長期滞在」するために書店に行きたくなる。

電子書籍派なりに、最近本屋が楽しい話。 - ゆるふわ√3

池上彰氏のコラムを読んだら、いつの間にか池袋リブロが終わる場所と知っているのに行きたくてたまらなくて、行ってしまったんですよー。そして確かに楽しかった。本買っちゃった。

池袋リブロは単なる記号じゃなくなったのです。

記号が熱を持って意味づく、というのかな。これまでの記号的な存在が、関連するエピソードを伴ってただの記号ではなくなったのです。

 

意味づいた記号が世界を広げる。

それからさらに日は過ぎて。ぼーっと新聞の紙面を眺めていたら、こちらも日経新聞の文化往来で「リブロ池袋」の名前が視界をよぎった気がした。以前ならスルーだけれど、熱を持った言葉って、なんとなく目に入っちゃいます。それで読み返したらば、リブロ池袋で「詩書専門店『ぱろうる』が期間限定で復活」という記事でした。

(文化往来)詩書専門店「ぱろうる」が期間限定で復活 :日本経済新聞

え、なにこれすごく楽しそう。

普段「詩」って、自分の中で、なんとなく好きではあるけれどそれ以外の小説だったり実用書だったりよりは熱意が動かされない微妙な距離感のもの、なんですけれど。そこに池袋リブロという情報が加わることで、すごく興味がそそられる場所になる。要は行ってみたい。6月からなのでまだちょっと日があるけど。前振りとして池袋リブロが自分にとって意味を持って、だからこそ目が留まった記事なんだと思います。

つらつらと書いてますが、要は、意味づいた記号が何か、別のものとさらに結びついて、ジリジリと世界を広げていくことってあるんじゃないかなーと思うのです。ブログなんてまさしくそうですよね。これまで興味を持ってもいなかったことが、好きなブロガーさんが取り上げたことで、記号が熱を持って意味づいてく。

他人は変えられない、ただ自分の見方が変わるだけだ、というのが持論なんですけれど。でも自分の見方を変えてくれるのって大概他人からもたらされた何かで、そうやって自分が見る世界がちょっとずつ変わっていくのは、ほわわんと楽しいことだよねといつも思うのです。

 

そしていまこの、他人に推薦された本をめぐる書き下ろしエッセイ「読まされ図書室」をが手元にあります。自分一人ではたどり着けないかもしれない本に、推薦人たちが無理やりたどり着かせる試みを読んで、このタイミングでこれを手に取れる自分のインスピレーションなのかセレンディピティなのかそういう才能に手が震えてる。

読まされ図書室

読まされ図書室

 

 

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