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青猫文具箱

本と文房具を愛でる日々。

書評、読書感想、読書案内の違いについて、1つの本で書き分け練習してみた(小説編)。

読書ブログは「要約・まとめ」「書評」「読書感想文」「読書案内」にタイプ分け可能、という記事を書いたのですが、そういえば私、この違いを上手く書き分けられる自信が全くもってありません。

読書ブログって難しい。

  1. 要約・まとめ:あらすじや目次の転載、本文の要約
  2. 書評(ブックレビュー):主に出版されたばかりの本について、客観的に、コンテクスト(本の背景や文脈)を含めて批評
  3. 読書感想文:自分が影響を受けた本について、主観的に、どのような読書体験が得られたのか共有
  4. 読書案内(ブックガイド):自分が面白いと思う本について、主観と客観を交え、どのような魅力や見どころがあるか紹介

特に書評と読書感想。違いを意識せずに書き始めると、足して2で割ったようなふわっとした文章が出来上がります。書き分けのスキルが高くない以上に、訓練が足りてないんですよね多分。

そんなわけで、1つの本について1.要約、2.書評、3.読書感想、4.読書案内を500字縛りで書き分けてみよう!という試みです。1.要約はあらすじ程度なので、実際には書評、読書感想、読書案内の3つで書き分け練習しています。

今回対象にしたのは、このブログで何度も好きだと叫んできた異世界ファンタジー小説「wonder wonderful」。フィーリング合う方には読んで欲しい本なので、ネタバレはしていません。

wonder wonderful 上・1 (レガロシリーズ)

wonder wonderful 上・1 (レガロシリーズ)

 

以前紹介したのはこちらの記事です。

一目惚れ級の、女が好きな女。

 

1.要約

要約とは、あらすじや目次の転載、本文の要約のこと。権利者の許諾を得てない場合は「現著作物を読まなくても主要な部分を認識させる」ような要約は御法度です。あくまで「引用」の範囲内で行うのが正しいやり方ですね。

 

★★★

異世界への常習旅行者である妹。妹の良き理解者であり、冒険話の聞き役である姉。

妹の冒険を、遠い世界の物語として聞いていたごく普通の社会人の姉こかげは、ある日、妹の危機に異世界に飛び込むことになる。しかし、その先でこかげを待ち受けていたのは、妹ひなたがこれまで話していたのとは真逆の、異世界の人々の厳しい視線と仕打ち。邪険にされながらも、逞しく前向きに、時に「大人」として、なかなかやってこない元の世界に戻れるまでの時間を過ごすことに決めたこかげは、すれ違い、複雑に絡まった2つの「きょうだい」の物語に関わることになる。

ネットランキングサイトで1位を独占し続けた、オリジナル小説サイト「therehere」の大人の異世界ファンタジー小説が待望の書籍化。完結済本編の他、前日譚、後日譚でまとめられた短編集有。作者は河上朔。他、作品に「災いの魔女と幸いの王~初めての暗殺、引き受けました~」「ガーディアンズ・ガーディアン ~少女と神話と書の守護者~」など。

 

2.書評

書評とは、主に出版されたばかりの本について、客観的に、コンテクストを含めて批評すること。ブックレビューとも言います。レビューといってもAmazonレビューのようなのは、商品紹介の要素が強いため、4.読書案内に含まれると思われます。

 

★★★

異世界に召喚されるのは、なぜ義務教育も終わっていない「子供」である必要があるのか。想定読者と同年代であることも然る事ながら、「物語では主人公の成長が求められる」からだ。大人に子供ほどの伸びしろは期待できない。子供が感情に任せ、躊躇なく駆け抜ける場面で、大人は過去の経験から理性の歯止めが働く。しかしそれでは、物語にカタルシスが生まれない。

この物語の主人公は、年の離れた妹のように“主人公”にはなれないと納得している、ごく普通の社会人。妹の危機に異世界に飛び込んでも、魔法や特殊能力のようなライトノベル的お約束の「チート」は与えられない。無条件で皆に慕われる「異世界補正」もない。何より、誰も彼女に期待しない。ありふれた社会人経験とコミュ力で、時に感情を割り切り、時に理不尽を飲み込み、時に落ち込みながら異世界を傍観する。

そんな彼女が、ある「きょうだい」を巡る事件をきっかけに、異世界の傍観者から、助言者となり、“主人公”となっていく物語。大人の彼女は成長しない代わり、彼女が媒介となることで誰かを変えていく、そうしてカタルシスを生みながら。

 

3.読書感想文

読書感想文は、自分が影響を受けた本について、主観的に、どのような読書体験が得られたのか共有すること。書評ならまだしも読書感想文に「課題図書」が存在するのって大分違和感をあるんですが、共通の読書体験を持てというお上からの指令なのでしょうか。謎。

(5/13 修正)id:wonodasさんから頂いたコメント(書評に近すぎる)がもっともだなぁと思いまして、読書感想文を全面的に見直しました。指摘ありがとうございます。

 

★★★

異世界ファンタジーで恋愛はお約束でもあるのに、この主人公は恋愛を楽しまない。「ここで恋をしても不毛だから」と、大人の狡さで、いろんなことを見ない振りする。物語の中で主人公の姉とその妹は「本質的に似ている」と評されて、ただし「異世界に召喚されたタイミング」が違う。大人になってか、子供のうちか。その差で片方は恋に怯えて、片方は恋を貫く。

私が大人の狡さを手に入れたのはいつだったろう。新しい事を始めようと思っても、「お金がかかるから」「時間がかかるから」と結局何も始めず、やらない言い訳だけ上手くなった気がする。今に執着している。だって、変わるのは怖い。せっかく時間を重ねて、子供の頃より居心地良くなった場所なのに、また0スタートなんて辛い。だってもう子供ほどやり直せる時間は残っていないのに。だから大人の私は、今更変わることに怯える主人公に共感してしまう。

なのに。それでも主人公はラスト、大人の狡さを投げ捨てて駆け出す。彼女の背中を押したのは「何」なのだろう、そして自分はそれを見つけられるだろうか、と読後の余韻の中で考えている。

 

4.読書案内

読書案内は、自分が面白いと思う本について、主観と客観を交え、どのような魅力や見どころがあるか紹介すること。ブックガイドともいいますね。ちなみにうちは読書案内がメインのブログで、できれば本屋のPOP的な存在になれたらいいのになぁというのが密かな野望です。これだけいつも通り、ですますである混じりの文体(である調苦手なんです。)

 

★★★

ネットで話題になった時、社会人異世界トリップ+恋愛もので一回敬遠したのですが、なぜもっと早く読まなかったかのかと後悔したのは懐かしい思い出。胸キュンラブ要素はありますが、むしろこれはハートフルにヒューマンなファンタジーだと思う。

真っ当に大人な主人公が、異世界の傍観者から、助言者となり、主人公となっていく物語。特別な生まれも才能も何も持たない、何者にもなれない自分も、重ねた時間と経験分だけ伝わって変えられるものはあるよ、という救いの物語でもあります。逆にヒーロー役の人たちが、「自分が特別であること」にぐるぐる悩んですれ違って衝突して、それを救うのは結局、ありふれた優しさだったり言葉だったり。読む度違うシーンで泣けて、頁を繰るたび暖かさを思い出して、でもやっぱりバルコニーのシーンでいつも号泣する。人の優しさがあったかくて、優しさに泣ける。優しさの圧が強すぎて、息すら苦しくなる。

あと妹ラブな姉とおねえちゃんラブな妹が仲睦まじくて大変よろしい。振り返れば、割と姉妹愛が国を救ったと言えなくもないこの物語が私は大好きです。それは、忘れていた何かを取り戻すような、“あたたかくて、いとしいもの”。

 

やってみた感想

難しい。 全然こなれない。500字とか、縛りきつすぎて書きたいことの1/3も書けない。

まあ慣れてないわけですしね。何回かやってみれば上手くなるのかもしれないけれど、どうせなら他の本読む時間に回したいなぁと思う自分は、物書きじゃなくて読書好きなんだなぁとつくづく思います。それに小説だと純粋な書評って無理な気がするので(どうしても主観が入る)、時間がかかっても実用書でやってみたいなぁ。

 

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