読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

青猫文具箱

本と文房具を愛でる日々。

繋がらなければ、伝わらない。

思考

とあるランチにて。会社の同期と。

「役所の担当者がいつの間にか変わっててさ。計画の説明最初からやり直し。異動するなら最初からいって欲しいよな」

「コロコロ担当者変わるよねぇ。なんでだろ?」

…業界との癒着や汚職の温床対策ですかね。なんて取り留めのない会話をしてたんですが、役所の担当者変更で思い出すエピソードがあります。

 

国際会議に出席する国の代表団にうちの偉い人が同行することになり、自分も偉い人のお付きとして行った時のことです。下っ端の自分は会議室に入れず控え室待機になることが多く、同じような立場で同世代の若手官僚と雑談する機会がありました。

「日本は国の担当者がコロコロ変わるから、他の国と繋ぎが出来にくいんですよ。当然信頼も築きにくい。他の国は10年単位で同じ担当者なんで、出来上がったサロンに新参の日本は入りづらいんですよね

「国の規模とは別のところで、長年の担当者には敬意が払われるし発言の重みも違うんです。村の長老みたいな感じで」

会議の間に軽食室に移って休憩、な時間に、日本代表団が固まって談笑してるのを見て私が言った「日本人て日本陣営で固まりますよねー」への反応です。私は「コミュニケーション下手で大人しい日本人」と思うだけだったのですがそういう事情もあるのかと。

 

言われると当たり前ですが、すでに出来上がったサロンに新参者はなかなか入れません。田舎の中高一貫校で内部進学組が多いクラスに入学して来た東京出身の外部受験生的なやり辛さに近いんじゃないかな。言語的にも文化的にも地理的にも壁もあるし。

一見さんお断りな料亭と一緒で、新参者はサロンの住人から紹介を受けて、何度か顔を合わせて初めて、信頼を勝ち得る訳です。スタート時は本人の信頼が不足する分、紹介者の信頼で補填する形。

ちなみにこの時は、うちのお偉いさんが顔つなぎして、国のお偉いさんを各国の担当者に紹介したりもしてました。次の会議では国のお偉いさん、別に人に変わってましたけども。

 

前任者から引き継げるのは仕事内容だけで、人脈は引き継げません。

毎回「はじめまして」とゼロからはじめる日本と、すでに顔見知りで「それでこの間の件だけど」ではじめられる国の差って、時間の限られた国際会議の場では特に、大きそうな気がします。

そして何度も顔をあわせて親しさや信頼が積み上がっていれば、何かあった時の根回しのしやすさも、それ以外の比ではありません。相手が言葉を聴く体制で繋がってなければ、言葉が伝わることもありませんしね。いわゆるルートがない、パイプがないってやつで。

 

前に社内政治について記事を書いたのですが、国であれ国際社会であれ、こういうサロンでいろんなことが決まってくのだと思ってます。相手の印象にしろ、関係性にしろ、判断にしろ。

女子会とタバコ部屋。いわゆる社内政治サロンの一角。

そこで交わされるのはたわいないおしゃべりです。(略)

存外職場の情報共有がなされていて、期待するほど有益な情報は展開されません。ただ何年か働けば、評判や評価はこういう場で決定され拡散されるとわかってるので、自分のブランド管理の一環として骨を折るわけです。参加しないのは欠席裁判と同じ。あと単純に、接触回数を増やしておけば「親しさ」が仕事で有利に働く場面て多いので。

なお、ここで担当者がコロコロ変わることの良い悪いを述べるつもりはないです。他の国と繋がって根回ししやすくなるメリットが、業界癒着などによって停滞するデメリットに見合うのか想像もつかないので。

その分大使館が頑張るのかもしれないですし(あれ、日本が駐在しない国も多いのだっけ?むしろ頑張るのは政治家ですかねー。)

繋がらなければ伝わらないし、言葉も伝わらないけれど、繋がるだけの関係性構築には時間がかかるよね、というありふれた話です。 

 

関連記事