青猫文具箱

本と文房具を愛でる日々。

安野モヨコ先生の「働きマン」を今、読み返す。

ふとした瞬間に読み返したくなるマンガ、と言えば、安野モヨコ先生の「働きマン」。仕事とは、働くとは、に真っ向から切り込みつつ、底はあっても悲壮感がない感じが良いんです。28歳独身の女性編集者、松方弘子を主人公に置きつつ、各話でスポットライトが当たる人物や仕事感が移り変わる群像劇的お仕事マンガ。

 

今のアベノミクス的女性活躍を否定する気はないけれど、編集部に出てくる女性陣が、自分の女としての性を認めた上で、武器を持って真っ当に男社会と勝負してて清々しい

男より断然男な松方もだけれども、女々した「働かないマン」の梶さんも、女の子感な「お姫さマン」の由美ちゃんも、一回悩みの通過点を超えてるんだなーという逞しさがあるんです。マユは、んーどうなんだろう?凄く主人公主人公した性格なので、このまま5年貫けるならそれは武器なのかな。難しいかな。

 

初読、学生時代だったんですが、学生時代読んだのと、働き始めて読んだのでは、“世界は変わって見える”。

梶さんや由美ちゃん的働き方は、「何となく女な働き方で嫌い」と思ってたけども、浅はかだったなー。今ならそれも1つの戦い方と受け入れられるので。道があると知ってるのと知らないのとでは、やはり違うものです。「女性が男社会で戦っていくにはこういうパターンがありますよ」と道筋つけてくれたのは有り難かったなーと思います

 

 あと、「報われマン」の千葉君が凄く好きなんですよ。松方の同期で営業。

仕事は仕事と割り切れつつも、琴線に触れたら情熱で仕事できるという。やりたいことが出来るスキルと、情熱を揺り動かされる心のスイッチが錆びずにある感じが羨ましい、というよりそうありたい。なので、仕事で立ち止まった時に自分が追っかけてる方向を思い出すためにたまに読むのは「働きマン」の中でも2巻です。

 

このマンガの発表が2004年。でも色褪せないですよね。知られている通りこのマンガ、ドラマにもアニメにもなったけれども、2008年以降は作家の体調不良による休載。回復した後も再開は絶望視されてます。理由は↓の作家インタビュー記事。

安野モヨコさんが漫画『働きマン』を再開しにくい理由 - ニュース|BOOKSTAND(ブックスタンド)

「正直な感触で言えば、誌面を見ていても、これじゃダメなんじゃないかと思うところがありました」

「主人公の弘子なら、いまの週刊誌の現実を前にしたら、『この雑誌ではダメだ』と思うだろうな、と。でも、だからと言って弘子が雑誌をどう変えるかという話を考えてみても、どうしても、実際にはどうにもならなかったというストーリーにしかならなくて」(安野さん)

今の出版業界の現状を鑑みるに、主人公を、松方を松方らしく動かすのが凄く難しい、という。2013年2月の記事。今だって変わってない・・・というか、今後も変わらないだろう業界。いっそ、沢尻エリカ主演の「ファーストクラス」のように、舞台をがらっと変えて、WEBライターとかに転職しちゃった方が良いんじゃとか無責任に思ったり。

いやいや、4巻終わりが希望ある爽やかな感じなので、あそこで止めて「続きはあなたの心の中で」のままの方が、キレイなままのかもしれません

 

そんな訳での各巻感想。さて、もう一回読み返そうかな。

 

【働きマン 1巻】(作者:安野モヨコ)

ちょうど松方と同世代になって読み返した、

働きマン(1) (モーニングKC (999))

働きマン(1) (モーニングKC (999))

 

部下ふたり、後輩たくさん、失敗すれば社長が謝りに動かないと行けない大きな仕事を任されて、上司からは多分、信頼されている。でも、熱意だけでは働けなくなった。

色褪せてない。そして、自分の欠片がいるように、なぜだか松方に同調する。一度目読んだのは確か学生時代、こうなりたいなと思ったけれど、松方が煙草を吸うとき心を過るものに同情できなかったのに。

でもやっぱりかっこいいなぁ。自分も菅原さんに「わかってる女」って認めさせたい

 

【働きマン 2巻】(作者:安野モヨコ)

時代は変わっても、何も変わらないと良い。

働きマン(2) (モーニングKC (1453))

働きマン(2) (モーニングKC (1453))

 

本屋のその先には今も、「昔も今も働きマン」な編集長と編集者がいて、「報われマン」な営業がいたらいいなと思う。

地味に1巻より2巻の方が好きで、「報われマン」の千葉君の話は、社会人やって数年めの人にこそ、読んでほしいのかも。とりあえず私は、絶妙なタイミングでこれ読んで、心の琴線に触れて、嗚咽するように泣いた。
で、その後の「一人前の働きマン」で、松方の「ああ・・・あたしもそうだ 一人でやってる気になって誰もついて来なくて」「たくさんの先人達も同じような時があって それぞれ越えてきてるんだ」に頭をガツんと殴られる

ちなみにvol.13の「面接マン」は就活生必見。この間面接官やったけどあるある過ぎる。

ところで、vol.5の「あやまりマン」で「『後悔する』ようなやり方をしてたことに激しく後悔する 」の下りにざくっと胸を刺されたんだけど、なんで。え、皆さんはどうですか。

 

【働きマン 3巻】(作者:安野モヨコ)

起承転結の「承」的な穏やかさ。

働きマン(3) (モーニングKC (1550))

働きマン(3) (モーニングKC (1550))

 

導入として最高の1巻、エピソードが珠玉の2巻と比較して、実は3巻はそれほど読み返さない。1、2巻のその後、とか、4巻への繋ぎのように思ってしまうから。あと、あるある過ぎて哀愁をね、勝手に感じてしまうのです・・・。うぅ。

松方の恋愛的には1つの落着なんだけども。

 

【働きマン 4巻】(作者:安野モヨコ)

続きはあなたの心の中で、だっていい。

働きマン(4) (モーニングKC)

働きマン(4) (モーニングKC)

 

「お休みマン」で松方の「あたし 仕事以外のスキルって上がってんのかな」に同調し、「お便りマン」で何年後かの未来におののき、「ボケマン」で足下の薄氷に怯え、「父マン」でうっすらした希望と「あたしはきっと頑張れる」の松方の笑顔にきゅんとする。

続き出てないですが、自分的にはここで落着で良いなーとか。だってさ、出版業界の今を想像するとさ、ほら、ね、なんというかさ。

とりあえずシリーズ通して大推薦!良いものは早々色褪せない!

 

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