青猫文具箱

本と文房具を愛でる日々。

小説家になろう書籍化ブームで、ファン買いについて考察。

小説家になろうサイト(通称「なろう」)で新しいお気に入りの小説や作家さんを人より先に見つけてブックマークするのが密かな楽しみです。いわゆる青田買いってヤツですね。

「ソードアート・オンライン」「ログ・ホライズン」「魔法科高校の劣等生」など人気のWeb小説が書籍化→アニメ化と続いたことで、ようやくなろうの書籍化ブームも本格化した気がします。

そんな訳で「ネットで無料掲載されていた小説を、有料の書籍でなぜ買うのか」についての考察(に見せかけた自分が買う時の理論武装)です。

 

小説家になろうの書籍化の流れとか。

なろうでは出版社のコンテストが定期開催されていまして、これに応募して入賞、書籍化ルートが定着してます。コンテストに応募せず、ランキング上位の人気作が出版社からの一本釣りで書籍化することも。ランキングでは見かけなかった作品で、作風が特定のレーベルに引っかかりいきなり陽の目を浴びて書籍化、というのもあります。

完結済み小説ならまだしも、未完で更新不定期な小説が書籍化すると、エタる*1ことも多く、読者の心情はなかなかに複雑です。

書籍化作業で忙しくなることでエタり、そのため読者が離れて書籍が売れないorなろうの連載を続けながら書籍化進めたものの、書籍が売れなかったため1巻で打ち切り、作者の意欲低下でエタる、などなど...。

もちろん中には、書籍化が成功して二桁巻まで刊行、重版出来を重ねアニメ化、なんてアメリカンドリームが巻き起こることもあります。ごくごくたまに、ですけども。

 

書籍化でネット掲載分はどうなる?

小説家になろうから書籍化になった場合、それまでサイトに掲載されていた小説はどうなるかというと、

  1. 掲載小説をサイトから引き下げ
  2. 掲載小説の書籍化部分をダイジェスト化(やや詳細なあらすじのみ)
  3. 掲載小説はそのまま(+書籍版を大幅加筆)

のパターンを取ります。

初期は1.か2.のパターンになることが多かったですね。タダで読めるものにお金を出すなんて酔狂、みたいなイメージあるので、読者としては残して欲しい気持ちはありつつも納得して、書籍化を祝福した。例えば、アルファポリスなんかは基本ダイジェスト化の手法を取っています(というより、初期はアルファポリスからの書籍化が目立っていたからダイジェスト化が多かった、が正解かな。)

そのため、書籍化=Web掲載分引き下げが当たり前かと思ってたら最近、WebはWeb、書籍は書籍といった風に、3.のパターンも増えてきたのですよね。書籍版に大幅加筆したり、あと女性向けでよく見かけるのが、書籍化部分はほぼそのままで、スピンアウトの書き下ろし短編をくっつけるケース。「ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです」とか。

ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです 1 (アリアンローズ)

ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです 1 (アリアンローズ)

 

初めてこのパターンをみたときは、ネット掲載したままで売れるの...?みたいなドキドキを勝手にしたり。結果、杞憂だったんですが。作品の良さやプロモーションの良さで、Web掲載してようがしてまいが、売れる時は売れる、というのが一読者の感想です。

作家さんの活動報告読むと、引き下げは出版者の意向だったりあるようですが、Web掲載したままでも書籍の売り上げに対して影響がない統計でも集まったのかなとぼんやり想像してます。同じ出版社でも引き下げありなしの幅があるので、もちろん作家さんの意向もあるのかと思われます(単に途中から出版社の方針転換があった可能性もあるか。)

 

ネットでタダで掲載されているものを買うか?論。

自分の場合、好きな作家さんの小説が書籍化した際は書籍を買います。本当に好きな作家さんの小説は、紙の本を保存版として買った上で電子書籍も購入したり。いわゆるファン買い。iTunes配信されているにも関わらずAKBやEXILEのCDを複数買いするのと同じ心理だと思ってます。

ファン買いして、続編がネットでも書籍でも良いから継続されるのを楽しみにし、エタらないことを祈り。時には評価や感想、レビューを書いて作家さんに頑張ってもらう(ただしプレッシャーにならないようひっそりと)。

これって交配で改良品種を育てながら実になるのを待つ農家の人に相通じるものがあるんじゃないかな・・・!!(大風呂敷を広げる。)

 

ファン買いと断言しましたが、挿絵を描くイラストレーターさん要素も加味されることも大いにあります。例えば、

無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記 1 (アリアンローズ)

無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記 1 (アリアンローズ)

  • 作者: 杜間とまと,由貴海里
  • 出版社/メーカー: フロンティアワークス
  • 発売日: 2014/10/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記」は、小説では正直イメージ湧いてなかったのが挿絵の影響で、あ、こういうイメージなんだーと購買意欲が上がった(元々買うつもりだったので上がっただけ)例だったりします。

だって主人公の女性、アラフォー(35歳)なんですよ!リアルに職場の同年齢の女性を思い浮ぶせいで、アラフォーが異世界トリップ、のイメージ湧かなかった。異世界冒険するにも体力いるだろう、と。でも表紙のイラストでテンション上がって「あ、これはアリでしょ!」てなりました。イラストもついてこれから楽しみすぎる。

ただ一方で、それぞれの読者が思い描いているキャラクター図があったりすると、そのギャップで購買意欲が失われることもありそうなので何とも言えない。

 

あと、本当に素敵な作品の場合は「こんな作品をタダで読むなんて申し訳ない!」思いは当然ありますしね、うん。

ただ、それは対作者さんにであって、対出版社、対編集者に対してではないので、挿絵とか、編集とか「なんだかなー」と思ったりすることも時にあり(営業してる感がなかったり誤字が残ってたり)、なろうの書籍化ブームが一般化するまでにはまだかかるんだなーという生暖かい気持ちにはなります。

いずれにしろこれからも素敵ななろう作品が世に出てくことを一ファンとして星空の下から静かに祈る所存です。

 

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*1:未完のまま更新されなくなること。永遠の未完、エターナるから来てるのが由来だそうな。