青猫文具箱

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新人期お悩み別オススメ本紹介やってみるよー。

部下の一人が今年の春入社の新入社員で、まもなく半年間の試用期間終了。無事本採用ですー。パフパフ。良い子なので大丈夫とは思ってたけど、世間では3ヶ月で辞める場合もあると聞いて、部下を預かる時はいつだってドキドキです。

そんな訳で、春入社で職場に慣れてちょっと余裕が出てきた分、細かなところが気になり始めた新人さんに贈る、お悩みタイプ別オススメ本紹介のコーナーです。

 

Q.職場に慣れてきたせいかダレ気味で、この間は寝坊で遅刻してしまいました。

初心に帰りましょう。直属の上司は仕事の内容で評価してくれても、周囲や、周囲の評判を耳にした人事は「当たり前の事が当たり前にできない人」に冷たい目を向けます。そんな訳で「入社1年目の教科書」。

職場での振る舞い、上司への報告の上げ方など、社会人の基本が充実していて、毎年4月の本屋の「新入社員向けコーナー」に並ぶ本です。

 

入社1年目の教科書(作者: 岩瀬大輔)

いつからあなたは新人から卒業しましたか?

入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

 

上司も先輩も新人の「先生」ではないから、直接仕事に関係あること以外、早々教えてくれない訳です。

そんな中での、「頼まれたことは、必ずやりきる」「1ヶ月で100点よりは、1週間で50点にして、赤ペンを入れてもらう」「仕事は他人依存の高い仕事から」などなど、社会人に「なっていく」ために、当たり前を磨く本
もちろん社会人になる前でも良いし、むしろ3年目、5年目社会人が読んで気づきのある本だと思う。

地味に、毎年1回は読み返す本。いつか、新しい気づきがなくなったらいいな。

 

Q.今の仕事が向いてない気がして、辞めようか悩んでます。

誰もが通る道です。その仕事に向いてない人と向いている人は確かにいますが、たった半年で見極められるのか、は謎。

サイバーエージェントの藤田社長も、1年の社会人経験(+大学時代2年間の営業経験)の後に起業しているのだと思うと、とりあえず1年は続けて良いんじゃないですかね。というわけで、藤田社長の起業までの経験が淡々と語られる「渋谷で働く社長の告白」。

 

渋谷ではたらく社長の告白(作者: 藤田晋)

淡々としながら貪欲でもあり、

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉

 

学ぶではなく感じる本。まさしく「夢追う人必読の書」。

起業を目指す人は、こういうルートがあるのだと追体験できて良いのかな。

出版当時、この社がメディアでどう取り上げられてたか知っているとヘヴィーですが、どこか冷めた俯瞰した視点で綴られるせいで、口当たりは意外にも軽め。それでいて、淡々とした語り口の中で野心や貪欲さが垣間見えるのが面白いです。

ちなみに私の場合、後半の株価急落とそれによる資産と時価評価の乖離に、静かな衝撃を受けました。当時、私も理解してなかった。それが真実のように思い込む、時代の空気って恐ろしい。

 

Q.電話対応が辛いです。ベルが鳴る度ビクつきます。

習うより慣れろ、で数をこなすのが結局のところ一番の近道です。それには電話応対のプロに学ぶのも一つの手、ということで、督促OLの電話交渉術&ストレスマネジメント的お仕事エッセイ「催促OL修行日記」。

 

督促OL 修行日記(作者: 榎本まみ)

正しく、電話のプロの仕事を見た。

督促OL 修行日記

督促OL 修行日記

 

借金を返さない人に督促電話をかける「日本一ストレスフルな職場」を生き抜いた、督促OLの電話交渉術&ストレスマネジメント的お仕事エッセイ。

正しく、電話のプロの仕事を見た!という感じ。
言質を取って罪悪感の種を撒く、先手謝罪、謝るときは具体的に「謝罪2:お礼1」の黄金比率で、などのノウハウ面から、言い負けないためには下肢を安定させる、悪口を悪口と認識しないために記録&数としてカウント、などのストレスマネジメント面まで。部下から「すみません、上司を出せと言って聞く耳持ってくれません・・・」な電話を回される身としては、とても勉強させていただきました。

電話対応の機会がある、ストレスフルな職場です、ロジカルとは無縁の交渉ばかり、という人には、きっと新しい気づきのある本です。

 

Q.マナー研修を受けたはずが、いきなり名刺交換の機会とかがあるとテンパってできなくなります。

これも習うより慣れろ、で一年くらいやると大概どうにかなるパターン。マナー本は本屋の一角を占めるくらい需要のある本ですが、丁寧すぎる内容も多いので(秘書やホテルマン、添乗員クラスのマナーって過剰な気が)むしろ雑誌のマナー特集でおさらいするくらいが良いと思われます。

私が最近読んだのはPRESIDENT (プレジデント) 2014年 5/5号の特集「「一流のマナー」超入門」。マナーって案外流動的で悩みがちになるところを、統計的正しさ、の切り口でも一番のツボ。

詳細はこちらの記事にて:

読んで面白かった雑誌の号をゆるふわっと語るよー。

 

Q.宴会の雰囲気が苦手です。幹事を任されると憂鬱でしょうがありません。

→これも習うより(以下略)。上の「入社一年目の教科書」も、幹事の心構えなんかが書かれててオススメ。または、宴会を「プライベートな空間に持ち込まれたビジネスな空気」と捉えるのではなく、「ビジネススキルの発表会」として捉えると呼吸しやすくなるかもです。

要は仕事だと思う。しかも外部を巻き込む昼の仕事と違って、ある失敗が許され、普段とは違う人からも助言をもらうことが許され、むしろ歓迎される場。そんなわけで、「ハーバード流宴会術」なんていかが。

 

ハーバード流宴会術(作者: 児玉教仁)

幹事に嫌気がさして「これだから日本の宴会文化は」と侮る人こそ。

ハーバード流宴会術

ハーバード流宴会術

 

忘年会の幹事に指名されて喜ぶ人はいますか?いないですよね。では、プロジェクトリーダーに任命されて企画を回すのも嫌?ブレストでファシリテーターの役目を期待されるのは?でもきっと、上司の期待は同じだと思うのです

参加者を管理し、お店を予約、当日は会が上手く回るようにてんてこ舞い。一つ一つのタスクでみると、飲み会の幹事ってつまらない作業ですが、仕事でプロジェクトを回すのと同じだけ、むしろそれ以上に高度なリーダーシップやファシリテーション、オペレーション力が要求されますよ、な宴会術のお話でした。「グラスに気を配るという行為は、参加者に気を配るという行為そのもの」は正しく核心を突いているんじゃないかと。おもてなしが日本の強みである、はその延長線上にあると思ってます。

今年の忘年会を任されて「これだから日本の宴会文化は」と毒付いている人は「宴会幹事」それ自体にハーバード仕込みな意義付け、ビジョンが持てるので、言い訳として読むのも良いんじゃないかなぁ。

 

Q.先輩たちは忙しそうなのに、自分は仕事がなくて手持ち無沙汰になりがちです。

全体のマネジメントができてない上司の責任ですね。お手すきなら、上司に直接「何か自分にできる事ありませんか」と聞いちゃえば良いと思います。メール社会のこのご時世、上司も部下の忙しさを把握できてなかったり。

さらに、そこを自分から一歩踏み込んで、色んなことが「察せられる」ようになると、任される仕事も変わってきたりして、そこから仕事って楽しくなるのかも。

そんな新人期、あまり自分一人の仕事って任せてもらえなくて、先輩や上司のサポートがメインになる人も多いと思うのですが、誰かをサポートするプロ、執事に「察する技術」を習ってみたらいかが?という「執事が教える 相手の気持ちを察する技術」。

 

執事が教える 相手の気持ちを察する技術(作者:新井直之)

水曜日午後1時半からのアポイントの成約率はどれくらいか、という「察する技術」の話。

執事が教える 相手の気持ちを察する技術 (中経出版)

執事が教える 相手の気持ちを察する技術 (中経出版)

 

執事な櫻井翔さんが眩しいドラマ「謎解きはディナーのあとで」で、執事監修を担当したプロが説く「察する技術」の本。

本のエッセンスとしては「察する技術には観察力、分析力、仮説力が必要」という目新しさのないものですが、そこに至るセレブエピソードが面白い。あーお金持ちってこう考えるのかーとか、セレブすらそこに気を使うのかーとか。執事と言う立場柄、主観ではなく客観、第三者的な「気づき」が28場面にまとめられて、興味深く新鮮に読めます。

自分が特に気になったのは「アポイントの曜日と時間で相手の真剣度を探る」「成功者は日記をつけている」「別れ際こそがゴールデンタイム」「本棚はその人のプレゼンテーションの場である」の4つ。3つ目、打ち合わせ後に出口まで見送りする間の会話こそ、相手の本音が垣間見える、だから何を話すかは事前準備が有効、は次から早速実践する心づもり。

 

★★★

ただし、ブラック企業、社畜なんて言葉も流行ってる位なので、あくまで程々で良いと思われます。定時後も居残る上司、先輩に気兼ねするばかりなあなたに「あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。」

 

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。 (作者: 日野瑛太郎)

「仕事を通じて一番幸せを感じるのは、自分の成長が実感できた時や、やりがいを感じた時です」

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。

 

タイトル勝ちってこういうこと、の見本みたいなタイトル。「それと、今日は定時で失礼します」な帯のコピーも良いなぁ。タイトルで主題の8割語っとる

「脱社畜ブログ」のブロガーさんの著書。ウィットに富んだ社畜の考察がスルッと読めて面白い、ですが、焼き増し的な内容も多いのでブログ愛読者は買うに至らないやも。それ以外の、特に会社員の方は、何かしら心に刺さる部分があるんじゃないかなと思います。

人によってはこのタイトル、一時流行った"ぶら下がり社員"や"ゆとり社員"をイメージするかもしれませんが、実際はもっと能動的な人向け。生産性と自分の市場価値を意識し、会社を"保護者"ではなく、"「自分」を経営する会社の取引先"と考える。要は会社への依存度を減らしましょう、という、大概のビジネス書の命題に沿った本です

 

Q.もう少し事務処理をスピードアップしたいです。

→これも習う(以下略)。事務効率系のビジネス書って、「自分を変えよう」的自己啓発より即効性高めだと思ってるので、いくつか自分に合う実用書を見つけて、実践してみるのも早いかもです。

再読するビジネス書まとめ:事務効率系(デスクワーク術、メモ術、整理術など)編。

 

Q.職場は良い人ばかりですが、このままここでずっと働くのかと思うと、なんとなく不安です。

→終身雇用と年功序列の伝統文化が崩壊してはや数年。こうした危機感は確かに必要ですよね。というわけで、これからの私たちに必要と思われるのは、評価を貯める生き方です

だって、ここでずっと働くにしろ外に出て他の道を選ぶにしろ、誰かに評価される人材でないと、選ばれることって難しいじゃないですか。または、誰からも選ばれる必要のない、選ぶ立場を選択するか。後者だって、まずは誰かに選ばれないと仕事にならないわけで。そんな、評価されることを望むなら、迷わず読んでいい実用書まとめです。

「評価される」ことを望むなら、迷わず読んでいい実用書まとめ。

  

★★★★

疲れない程度に程よく頑張って、そして追い詰められたと感じた時は、そこだけが世界じゃないと他のコミュニティに戦略的撤退をするのも一つの手です。誰が言ったか忘れたけれど、世の中「挑戦に失敗はない、成功か学びがあるだけだ」なので。

 

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